社会の仕組みとなったケア(医療・介護)の倫理
臨床における医療・ケア従事者にとっての倫理に関して、医療や看護の行動を分析してみると、医療・ケア従事者は状況に応じて様々な倫理的姿勢を状況に向かう姿勢としてとっていることが分かります。それらの倫理的姿勢には細分化した臨床の倫理的ルールが対応しています。ここでできるだけ広範囲の医療・ケア行動に共通に当て嵌まる倫理的姿勢ないし倫理的ルールを求めて見出されるものが臨床の「倫理原則」です。本ページでは倫理原則を中心に考えます。
臨床の倫理原則
最大限に広い範囲をカバーする倫理的姿勢・倫理的ルールとしての倫理原則
社会には多くの倫理的ルールがありますが、それらをできるだけ少数のルールに基づくものとして理解しようとする(=少数のルールに還元する)試みが古来なされてきました。例えば、キリスト教においてはもっとも基本的なルールは「隣人を愛せ」であって、「嘘をつくな」、「貪るな」、「人の悪口を言うな」等々はみなこの一つの指令に基づくと解されています。このような基本的な少数の指令を「倫理原則」と言います。
ここでは、医療・介護という活動に携わっている際の倫理原則について考えましょう。医療・介護は、ケアの一種であって、「社会の仕組みになった」(=社会化した)ケアです。この「社会の仕組みになったケア」が、まさにそういうものであるために不可欠の要件を考えると、医療・介護者が備えるべき、医療・介護に向かう(倫理的)姿勢が明らかになります。次の図の左手には様々な倫理的姿勢の例が挙げられています。そうした細分化した諸倫理的姿勢を分類してみると、図の右手に挙げられている3つにまとめることができます。これらが「臨床の倫理原則」と呼ばれるものに他なりません。
医療活動に携わっている時に、医療者はこれらの姿勢を体現しており、多くの倫理的姿勢に対して共通する倫理原則を体現しているはずです。もしそうでなければ、医療者は「医療」を行ってはいないからです。
《皆一緒》と《人それぞれ》から倫理原則を理解する
〔この部分、近く書き込みます。〕