人間の行動・振る舞いの方程式 (状況に向かう姿勢)+(状況把握)+(行動・選択)「この方程式を覚えておきましょう」
パート1臨床倫理の基礎

社会の仕組みとなったケア(医療・介護)の倫理

社会のすべてのメンバーに共通する倫理について理解したことを前提して、ここでは、社会の仕組みとなったケアである医療や介護に従事する人々が、医療や介護を実践する際に社会的に要請されていること、すなわち、臨床の倫理について考えます。まず、本ページでは、共通の倫理で理解した倫理的に適切・不適切な行動・選択の構造[状況に向かう姿勢(倫理的姿勢)+ 状況把握 → 行動・選択]を臨床の倫理についても当て嵌まることを、問題を考えることで確認しましょう。

臨床の倫理を考える

「滅菌ガーゼは素手で扱わない」という、医療者に求められている行動の仕方を、分析してみましょう。

ケア従事者としての(倫理的に適切な)行動

臨床における倫理的に適切な対応の構造を考える

では次のような場合はどうでしょうか?「?」がついた欄に入る事柄を考えてみましょう。


「?」の欄に入る事柄はいかがでしたか? 例えば1例目では、状況に向かう姿勢の欄が?でした。ここにどのような姿勢が入るでしょうか。 状況把握の欄に患者さんが「眠れない!」と援助を求めている様子が記されています。深夜当番の看護師が各病室を回っていた時に、このような訴えを聞いたといった状況を想像してみてください。ここで看護師は「患者さんの話をよく聞く」という対応をしたとあります。その時の看護師の姿勢を考えて推測してみましょう。

例えば、眠れない状況についてさらに本人の気持ちを聞いて、「どう対応するのが本人にとって最善か」を考えたいということかもしれません。もしそうであれば、看護師の姿勢は「本人にとって最善の対応をしたい」と表現できそうです(もちろん、いろいろな表現が可能で、正解は1つということでは決してありません)。

あるいは、本人の話をよく聴こうという対応をした際に、看護師は「本人の考えや気持ちをよく聴くことが、相手を人として尊重することだ」と考えたのかもしれません。もし、そうなら、看護師の姿勢は「相手を人として尊重しつつケアを進めよう」と表現できるものだったかもしれません。


おそらくは、以上の二つの姿勢の両方がこの看護師の姿勢に含まれていたのではないかと推測します。いずれにしても、「相手にとっての最善を目指す」姿勢も、「相手を人として尊重する」姿勢も臨床の倫理的姿勢です。医療・ケアの行動を分析すると、「状況に向かう姿勢」のほうは必ず倫理的姿勢になります。 どうしてそうなるかは、次の項目で考えることにしましょう。

  

まとめ

以上、臨床における医療・ケアの行動を分析すると、一般に倫理的に適切な行動と同様の構造があることが分かります。そして姿勢のほうは、医療・ケアを志す者としての倫理的な姿勢になります。ですから、状況把握がより適切にできるようになることが、倫理的に適切な対応のために鍵となります。患者さんの気持ちを把握すること、状況に対応する医学その他の専門的知識が働くことなど、状況把握が専門職者にとって重要なのです。そういうわけで、次の図をご覧ください。

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臨床の倫理原則