HOME 人間の間にある倫理 倫理とは行動の構造と倫理

パート1臨床倫理の基礎
人間の間にある倫理

行動の構造と倫理

行動の構造

人間の行動・振る舞いは、次のような構造をもつものとして、 理解することができます。

定義してみましょう
状況に向かう姿勢 + 状況把握 + 行動・選択

たとえば、次のようなケースを考えてみてください。

以下の二つが並存すると、私たちは二つの姿勢の間で板挟み状態、あるいは「あちら立てれば、こちらが立たず」状態(=ジレンマ)になります。 やがて、どちらかの姿勢が背後に退き、他方が活性化して、活性化したほうの系列にしたがった行動をとることになります。

おいしいものが食べたい

このケーキはおいしそうだ
食べていいんだ

食べる


太りたくない

このケーキを食べると太るぞ

食べない


[状況に向かう姿勢][状況把握][行動・選択] という分析の枠組みは、倫理について理解する場面だけでなく、いろいろなところで使いますので、慣れておいてください。

「食べたい」という姿勢は「欲求」と呼ばれるものです。一定の状況で活性化してきます。他方、「太りたくない」という姿勢も、ある意味では自分の容姿や健康をめぐる(知的な要素をもつ)欲求ともいえますが、自然に生じる食欲をコントロールするように働く姿勢ともいえます。このように、私たちのとるいろいろな姿勢の中には「自らの振舞いをコントロールする姿勢」があります。「太りたくない」という姿勢を持つ人は、自分がそういう姿勢をとる際に、「皆このような姿勢をとるべきだ」とまでは思っていません。「皆健康に気をつけるべきだ」と思ったとしても、そうしない人を非難するわけではありません。また、「太りたくない」は、他者に対する振る舞い方に関する姿勢ではなく、自分の容姿や健康に関するものです。

[状況に向かう姿勢][状況把握][行動・選択] という枠組みを使った分析の例

医療者の考え

状況に向かう姿勢
Aさんは家に帰って、家族と過ごしたいだろう

状況把握
この週末あたりが帰り時で、これを逃すと、状態がもっと悪くなって、帰れなくなる

行動・選択
この週末帰ってはいかがですか(と勧める)


Aさんの考え

状況に向かう姿勢
家に帰って家族と過ごしたいが、迷惑をかけたくもない

状況把握
このような身体の状態では、帰宅しても家族の負担になるばかりだ/もう少し我慢すれば、状態がよくなって、帰宅しても家族の負担が少なくてすむ

行動・選択
この週末は帰らないでおこう


倫理的姿勢

以上のように、私たちが自らの行動・振舞いを選ぶ際には、自らの置かれた状況を把握しつつ、その把握に応じて、いろいろな状況に向かう姿勢をとることで、選ぶ行動・振舞いが結果するのです。 さて、そういう姿勢のうち、自らをコントロールする姿勢の中には、「食べたい」という欲求を「健康を保ちたい」というより理性的な意志によってコントロールするようなものがありましたが、倫理に関わって自らをコントロールする姿勢―「倫理的姿勢」―もあります。
倫理を「人間関係のあり方についての社会的要請」と定義しましたが、この社会的要請に応えようとする姿勢がこのようなものです。 すなわち、これは他者に対する振る舞い方、態度のとり方に関わるもので、自分ひとりがとると決めただけでなく、「皆同じような姿勢をとるべきだ」と思い、そういう姿勢をとっていない人を非難することにもなるものです。

「倫理」は、倫理的姿勢を核にしていますが、それだけを「倫理」と呼んでいるわけでなく、倫理的姿勢から結果する振舞い方(の様式)や、その倫理的姿勢をまさに「倫理的なもの」だとしている社会の通念等々、姿勢の周辺にあるものを含めた文化の総体を指す名です。

倫理的に不適切な行為と倫理的非難

臨床における倫理的姿勢

状況把握

倫理的な振る舞い・行動


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