高齢者ケアと人工栄養を考える_第4刷
53/82

選択に迷った時のヒント集(Q&A)肉親にはできる限り生きていて欲しいのです。どんな生活になるかによってやり方を変えるなんて、できません。家族としては少しでも長く生きていて欲しいと思うのは自然です。しかし、人工的に栄養補給をしても、本人がもう相当弱っているので、長生きを目指すと本人にかえって辛い思いをさせる、あるいは本人が人生を全うすることを妨げる結果となるおそれがあります。●栄養補給等を行っても、生命を延長することは難しい場合(ステップ3の結論がCの場合)、何の効果もなく、ただ本人に負担となることをする結果になります。また、人工的栄養補給をすれば、生命はそれなりに長く維持できるだろうが、心身が衰えてきているので、延びた人生の日々は快適なものとはならないと予測される場合(ステップ3の結論がBの場合の一部)には、無理に栄養補給等を行うと、後で「生きてはいるけれど、こんな状態では本人が可哀そうだ」という結果になってしまうかもしれません。ですから、はじめから〔人生の延長だけ〕を目指す、つまり、快適さが伴わないとしても人生が延長しさえすればよいとは考えないほうがよいと思われます。●とはいえ、家族が本人に「生きていて、自分たちの支えになって欲しい」と思うのは、情として無理からぬところがあります。本人も、たとえ意思疎通ができないように思われる状態でも、そのような家族との関係において、立派に家族の支えになっていることだってあります。また、栄養補給等をすればいのちが保てる見込みがあるのにやらないことは、餓死させるようなものだと言われたり、自ら思ったりして、やらないと決心できない場合もあるでしょう。●そういう家族の気持ちを無理に抑えなければならないわけではありません。ただ、このように考えて、栄養補給等をして、生命を維持し続けることが、本人の人生として見た場合に、最善とは限らないし、かえって本人に辛い状況にしているという面がQ4A51

元のページ  ../index.html#53

このブックを見る