高齢者ケアと人工栄養を考える_第4刷
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選択に迷った時のヒント集(Q&A)水分と栄養を補給すると、生命は延びるようですが、延びたいのちの内容を考えると、果たしてよい人生と言えるかどうか、迷ってます。ステップ3の結論が(B)「生命維持は可能だけれど、生きてて良かったといえる日々になるかどうか、疑わしい」だった方が、ステップ4で、何を目指そうか迷っていらっしゃるのですね。●本人の意向と本人の人生にとっての最善を大事にしましょう。単に、食べられなくなったらどうして欲しいかということだけについての意向ではなく、どういう人生を送りたいか、についての意向を踏まえるよう、努めましょう。本人の人生全体を考えながら「この場合、どうすることが最善か」を考えます。●あくまでも、本人が自分自身をどう見ているかを考えましょう。周囲の人間からは「こんな状態で生きていても仕方ない」という場合でも、本人の気持ちは違うかもしれません。●本人が元気な時には、人工的水分・栄養補給はしないことを希望していたけれど、現在、空腹や渇きを訴えている、あるいは、水分・栄養が足りないことによる苦痛を示している場合、本人が現在示している要求に応え、また苦痛を緩和しつつ、元気な時の思いにも応える途を探しましょう。●本人の意向が推定し難い場合、次のように考えるとうまくいくことがあります:本人はどのような人生を送ってきた方かを振り返ってみます。ステップ2の記入欄を振り返ってみてください。さらに、「これまでの人生の中でどのような選択をしたことがあるでしょうか?どのようなことが好き、あるいは嫌いでしたか?」といったことを考えてみましょう。─こうしたことから、「もし本人が意向を表明できるとしたら、今回の選択についてどういう選択をしただろうか」を考えましょう:どういう選択が本人らしいですか?本人が「幸せだ」という感じをもって生きていると思われる場合、生きた甲斐があると言えるのではないでしょうか。例えば、生活の中で、笑顔が見られる、楽しみがある、周囲の人々との気持ちが通じ合う交流がある、といったことから、「幸せ感」を推測でQ3A49

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