高齢者ケアと人工栄養を考える_第4刷
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選択に迷った時のヒント集(Q&A)事情が背景にあって、ご本人に支給される年金を頼って、一家で身を寄せ合って生活していることもあります。経済的な問題が、本人の延命を余儀なくしているというようなことがありましたら、どうぞ医療・介護にあたっている方に、ソーシャル・ワーカーなど、社会的な制度の活用に詳しい専門家のサポートを依頼してください。水分と栄養を補給しさえすれば、まだまだ良い人生が可能なのに、本人は嫌だと言っています。パートⅡでは、ステップ3で(A)「栄養(水分)補給をすれば、生命維持ができ、生きていて良かったと思える生活が可能」という判断になった方が、ステップ4「何を目指しますか」のところで、〔人生の延長+快適な日々〕ではなく〔快適な日々〕だけを目指すほうにしたいとおっしゃっている場合ですね。例えば、「食べられなくなったら、おしまいでいい」、「人工的に栄養補給をしてまで生きなくていい」ということでしょうか。このように考える理由としては、次のようなことが考えられます。●「食べられなくなったら、もう生きていても甲斐がない」とお考えかもしれません。でも現在の状態が(A)であれば、食べられなくてもそれなりに楽しいこともある(=生きた甲斐があったと思える)人生が傍から見る限りでは可能であるように思われます。また、口から全く食べられないとは限りません。医師など専門家と相談してみてください。例えば、「氷のかけら(味付きでもいい)とか、アイスクリームスプーン1杯くらいを試してみるのはいいですよ」と言われるかもしれません。食べられなくなった経過にもよりますが、少しずつこうしたことを練習していって、もっと食べられるようになるかもしれません。〔人生の延長+快適な日々〕を試してみてはいかがでしょうか。栄養状態を改善すれば、今より身体が元気になることもよくあります。試してみて、「やはり生きている甲斐がない」と思われたら、〔快適な日々〕だけを目指すように変えたらいかがでしょうか。Q2A47

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