高齢者ケアと人工栄養を考える_第4刷
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家族(親しい間柄の者)として、いろいろ考えてしまいます。ご本人と家族・親しい間柄の方との間では、互いにいろいろな思いがあって、それが選択に影響することがあります。●家族にとっては、本人が生きていることが精神的な支えになることもあるでしょう。逆に介護の負担が大きいといったこともあるでしょう。こうしたことは、いずれもご家族の都合です。もちろん、それを考えることは悪いことではありません。でも、まずは、本人自身の今後の生活が、生きていてよかったと言えるものになるかどうかを考えていただきたいのです。ご本人にとって良い道と、ご家族にとって良い道との双方を併せ考えましょう。●本人の最善を実現しようとすると、家族の負担が重過ぎるという場合、それをどうやったら軽減できるかを、介護関係者、たとえばケアマネジャーと相談してみましょう。家族の負担を軽減することができるいろいろな方法やサービスが用意されています。●本人とご家族は、その人生の物語りが大きく重なり合っています。ですから、本人の生き死には、ただ本人だけの問題ではなく、一緒に生きているご家族にも大きく影響します。そう考えると、確かに家族のお気持ちの故に、本人が生き続けることに意味があるということもあるでしょう。しかし、だからといって、本人にとって苦痛が長引くとか、いのちの終わりの経過を長引かせるという結果になると見込まれる場合、単純に延長していいというものでもありません。ですから、ご家族のお気持ちを大事にすると共に、ご本人の気持をも考えて、どうしたらよいか、考えてみてください。●家族にとって、本人が生きていることが経済的に益になるという理由で、延命を望んでいると思われる場合も時にあります。例えば、本人が生きる喜びをもてるようにと努力しないで(入所施設に面会にこようともせず)、ただ支給される年金をあてにしているようなケースが見受けられます。家族にはいろいろな事情があり、こういう方法をとらざるを得ないのだとお考えなのでしょうが、このような年金の使い方は不適切ですので、社会的制度の活用に詳しい専門家と相談して、別の道を探してみましょう。●ご本人のお世話をするために、ご家族が勤務先を退職せざるを得なかったといったQ1A46

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