高齢者ケアと人工栄養を考える_第4刷
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■本人が快適であることを目指すわけですから、とくに苦痛となる症状を緩和するとか、予防するという必要がなければ、人工的水分・栄養補給をする必要はありません。ですから、上記の選択肢のうち、〔補給なし〕:人工的水分・栄養補給はしない/可能な限りの経口摂取のみから考えましょう。(詳しくはパートⅠの18〜19頁をご覧ください)。●見かけ上はだんだん痩せていくので、周囲の方たちは見ているのが辛いかもしれませんが、医学的には、本人にとってこれが一番楽な経過になると考えられています。身体全体が衰えてきている場合は、水分補給等をすると、かえって身体に負担となり、辛くなるからです。● これを選んだ場合、時として急激な脱水症状が起きることがあります。この場合は、本人が辛い状態になるので、方針〔水分補給〕に移行して最低限の水分を補給するほうが、本人が楽になれる場合もあります。さしあたって方針〔補給なし〕を選んでも、本人が苦しくないことを目指して、柔軟に対応することを確認しておきましょう。■本人のQOLを高め、保持するために(脱水症状による害を予防するなど)、少しは水分(プラス若干の栄養)補給をしたほうがよいと判断される場合、方針〔水分補給〕:人工的水分補給(+若干の栄養補給)+可能な限りの経口摂取を選択します。この場合は、補給の仕方に次の2つがあります(詳しくはパートⅠの15~17頁をごらんください)●末梢静脈栄養法 いわゆる点滴です。通常、水分を補給する管の先についている針を腕に刺して、そこから末梢静脈に水分(+若干の栄養分)を補給します。●持続皮下注射 見た目は点滴とあまり変わりませんが、お腹などに皮下注射して水分を補給します。39

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