高齢者ケアと人工栄養を考える_第4刷
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経鼻経管栄養法 鼻から喉、食道を通して、胃まで、細いチューブを通し、それを経由して、水分・栄養を入れます。胃ろうに比べて簡単に行えますので、栄養補給を要する期間が短い場合は、これが勧められます。OE法 (間欠的口腔食道経管栄養法) 食事の度に、口から喉を通して、食道の途中までチューブを入れ、それを通して、水分・栄養を入れます。これは実施しているところが少ないので、希望してもやっていただけるとは限りません。 この三つの方法の長所・短所について、詳しくはパートⅠ(8~12頁)を見てください。以下、よく選択のポイントになる点だけ、ごく簡単に挙げてみました。❖本人の辛さ 経鼻経管の場合、常時鼻からチューブが入っていますので、本人にはうっとうしく、辛く感じることがあります。自分でチューブをひっぱって抜いてしまう、ということがよく起きます。一旦抜いたチューブをまた入れるのも、本人には辛いことです。 胃ろうの場合は、本人の日常的な辛さがあまりなく、また、通常は服の下に隠れているので、チューブを抜いてしまうという事故も起きにくいです。 OE法は、人によっては食事の度に口からチューブを入れるのが辛い場合がありますが、ものを呑み込む訓練になるという面もあります。簡便さ 経鼻経管、OE法は、チューブを鼻ないし口から挿入するので、医療側にはそれなりの慎重さが求められますが、胃ろうに比べればずっと簡便です。 胃ろうの場合は、本人・家族の双方に、身体に穴をあける手術への抵抗があることが多く見受けられます。「この歳になって、そんなことまでしたくない」という思いです。しかし、だからといって、経鼻経管を選ぶと、長期にわたって辛い思いを本人に強いることになりますし、鼻腔周辺がただれるなどの問題が起きることがあります。36

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