高齢者ケアと人工栄養を考える_第4刷
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持続皮下注射 軽度から中等度の脱水症に対する水分補給のために、皮下注射による維持輸液というやり方があります。これはイメージとしては、普通の点滴のように見えますが、静脈に針を刺すのではなく、皮下に針を刺し、そこに持続的に少しずつ水分を投与し、そこから身体に吸収されるようにしているのです。水分補給の場合は点滴のように液体の入ったパックをぶら下げて、高低差で圧力をつけますが、薬剤を投与する目的の場合は、投与する液体の入った小さな箱を身体の傍におき、電動ポンプで圧力をかけて注入するやり方もあります。 水分補給の場合、投与するのは基本的には生理食塩水であり、栄養分の投与はごくわずかです。注射する部位として一般的なのは、腹部、胸部、大腿部、上腕などです。 末梢静脈に点滴のための針を刺せる場所を探すのが困難な高齢者や、認知症で点滴の管を引き抜いてしまう患者さんなどによいと言われますが、そういうことがなくても、以下に挙げるような理由で、患者さんの負担が少ないため、在宅ケアでは、少量の水分を補って苦痛を軽減するという目的の場合など、よく使われるようになってきているようです。 ただし、医療保険上の問題がある場合もありますので、この方法を候補とする場合は、担当の医師、看護師とご相談ください。2-316

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