高齢者ケアと人工栄養を考える_第4刷
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 中心静脈栄養法は、□❶新陳代謝機能が維持されている場合に、生命維持に十分な栄養(もちろん水分も)を投与することができます。□❷1回カテーテルを入れると、数ヶ月間使用可能なので、そのつど注射する必要がありません。ですから、患者さんの苦痛が少ないです。□❸次頁の末梢静脈からの点滴は、ラインの確保(末梢静脈に体外から針を刺して、液を注入する入口をつくること)が難しくなることがありますが、そういう場合にも、中心静脈を使って少量の水分等を補給することは可能です。益にならない場合/害になる場合□❶カテーテルを入れる手技は煩雑で、カテーテルの挿入部位や投与液を清潔に管理  しないと感染症の原因となり、敗血症になった場合は死亡の危険もあります。コ  ストも高いです。□❷注入の間、本人は管につながれて不自由な時間を過ごさねばなりません。□❸新陳代謝が減退している場合には、投与した水分・栄養が使われず、体内に貯まっ  てしまうので、むくみの原因になり、身体に負担をかけます。したがって、新陳  代謝できる量に絞る必要があります。□❹ことに最期の時期は、本人の体内に蓄えられているものを消費するのが本人の身体  にとってもっとも負担が少なく、本人の苦痛が少ないので、中心静脈栄養法は有益  ではありません。ただし、投与量をごく少なく絞るやり方をしている医療機関もあ  ります。(参考文献 橋本肇『高齢者医療の倫理』中央法規、2000)どういう場合にどのように有益か14

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