高齢者ケアと人工栄養を考える_第4刷
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経鼻経管栄養法 口から食べ物や飲み物を摂取できない場合に、従来、もっとも一般的に行われてきた方法が経鼻経管栄養法です。細いチューブを鼻から胃へ通し、そのチューブを通して、流動食や水分や薬を投与する方法です。どういう場合にどのように有益か□❶経鼻経管栄養法は、口から食べることができないほとんどの患者さんに使用可能  で、長期間の管理が可能です。□❷手術をする必要がなく、簡単に装着できるので、簡便です。益にならない場合/害になる場合□❶最近ではとても細いチューブが使われるようになりましたが、それでも、常時、 チューブを装着しているので、違和感や不快感を持つ人が少なくありません。□❷そこで、理解力が衰えていると、また理解力があっても寝ている間に無意識に、 不快なので抜管してしまうことがあります。何度も抜管と挿入を繰り返すのは、 本人にとっても辛いことです。□❸鼻腔や咽頭部を清潔に保つことが難しい場合があり、鼻腔の汚物が咽頭に運ばれて気道感染の原因となることもあります。□❹チューブによる圧迫で皮膚や粘膜に潰瘍ができることもあります。□❺胃ろう栄養法と違って経口摂取との併用は難しいので、嚥下障害を有する人が 口で食べる訓練をしながら栄養摂取する場合にはあまり向いていません。□❻欧州の静脈経腸栄養学会は、人工的に水分・栄養を摂取することが必要な期間が 2~3週間以上にわたることが予測されている場合は、経鼻経管栄養法ではなく 胃ろう栄養法を選んだほうがよいとしています。1-211

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