高齢者ケアと人工栄養を考える_第4刷
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胃ろう栄養法 胃ろうはお腹にあけた小さな穴です。そこに管を通して、胃に直接、流動食や水分や薬を投与します。胃ろうは、経皮内視鏡的胃いろう瘻造設術(ペグ)※という方法で比較的簡単につくることができます。どういう場合にどのように有益か 胃ろう栄養法は、□❶同じく腸を使用する経鼻経管栄養法に比べて、本人の不快感も苦痛も少ないとい  われています。□❷経口食との併用が可能ですから、口から十分な量を食べることができないとき、   好きなものは口から食べ、必要な栄養分は胃ろうから入れることもできます。で  すから、嚥下リハビリなど、口から食べる訓練をする必要がある場合にも、胃ろ  う栄養法は役立ちます。□❸胃ろうは不要になれば閉鎖できます。1-1※経皮内視鏡的胃ろう造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy;PEG)とは 「経皮」とは「皮膚を通して」、「内視鏡的」は「内視鏡を使用して」という意味です。使用する内視鏡は胃カメラです。この方法は英語の頭文字からPEG(ペグ)と呼ばれています。PEGは局所麻酔下で行われます。胃カメラを挿入して胃の内部の切開に適する部位を探したら、その部位をお腹側から5~6mm切開し、胃壁と腹壁を固定してカテーテルを装着し、内部ストッパーと外部ストッパーで止めます。カテーテルはチューブ状の器具で、これで胃の内部に流動食や水分や薬剤を体表面から直接投与することができるようになります。切開部の縫合は不要で、処置時間は10分程度です。胃切除を受けて胃がない患者さんでは、胃ろうのかわりに腸ろうをつくることがあります。9

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