心積りノート 考え方・書き方編
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ステップ3 今後の治療・ケアについての心積り3-4 急変した時3-4-1 救急車を呼ぶかどうか 「急変時には救急車を呼べば安心」?突然倒れて意識がなくなり、一緒にいた人(ご家族など)が救急車を呼ぼうかと考える時、かかりつけの医師がいる場合や訪問看護が入っている場合には、そういった専門家に電話をして容体を説明し、どうしようか相談できます。そこで「救急車を呼んだほうがいい」と言われたら、そうすることができます。相談されたほうも、ご本人の人生観や価値観を理解していないと、判断しにくい場合がありますから、あらかじめ本心積りノートを作る時に相談しながら作っている、といったことがあると有利です。また、急変時にはまず相談するということで了解をもらっておくとよいでしょう。身体は老いに伴って相当衰えてきているが、これといった疾患はないので、これまで医療の世話になったことがない、という元気な方の場合、突然倒れると、かえって困ったことになりかねません。というのは、かかりつけのお医者さんがいないので、どこにも相談できませんし、ご家族がそのままにしておくのがよいと判断できるわけではないので(もちろん、緊急に手当てをすれば、また元気になるかもしれません)、あわてて救急車を呼びます。呼ばれた救急車は救急救命が任務ですから、例えば心肺停止になっていれば、蘇生を始めます。それで命をとりとめ、回復に向えばよいですが、老いが進んでいると、回復しないことが多いのです。かつ蘇生自体が本人にダメージを与える場合が少なくありません(次項で詳しく説明します)。かつ、家族の目の前で倒れた場合は、すぐに救急車を呼んでいるからまだしも、倒れた状態で見つかったので、いつ倒れたか分からないという場合、回復の可能性は非常に低いのです。しかし、「そういうことならば、救急車を呼ばない」とした場合に、かかりつけ医に定期的に診ていただいていると、そのかかりつけ医が死亡診断をしてくださるでしょう。しかし、日ごろ元気だと、かかりつけ医がいないことがあり、倒れたままで最期になると、死因がわからないので司法解剖が必要になるおそれがあります。このことはご家族が望まない顛末といえましょう。それは人それぞれに定まった運命かもしれませんが、できるだけ、そういう事態は避けるように、元気なうちから備えをしておいてはいかがでしょうか。 【おすすめの心積り】● 壮健、準壮健の頃は、壮年期と同様に必要と思った時には救急車を呼ぶ● 要介護度がつくようになったら、在宅の場合、それに対応できる医師に定期的に健診を受け、介護度申請の折りにも所見を書いてもらうようにし、かつ、急変時に救急車を呼ぶ前に相談することの了承を得ておく。この場合、本人の身体の状態に応じて、医師は「当分は急変時にはすぐ救急車を呼ぶほうがいい」などと、すすめるかもしれません。その他、細かい相談ができればベターです。51ステップ 1ステップ 2考え方ステップ 3ステップ 3おわりに

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