心積りノート 考え方・書き方編
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ステップ3 今後の治療・ケアについての心積り心積りの留意点「かくかくの治療をすれば、余命を延ばせます」というだけで、どうするかを決めるのはやめましょう。本人の人生にとってどうすることが最善かを考えるためには、残りの長さだけではなく、内容も予想する必要があります。大事なのは、長さだけではなく、中身です。「本人らしく最期まで生きる」ことを実現するためには、ここが考えどころです。人工的水分・栄養補給のほかに、人工呼吸器をつけるかどうか、腎不全に対して透析をするかどうか、肺炎に対して抗生剤を投与するかどうか、等々、同様に考えられることがいろいろあります。人工的な栄養補給については、客観的には、《軽度の要介護》あたりまでは、他に問題が起きているわけでなく、口から飲食できないという問題だけであれば、人工的栄養補給をすれば、まだ楽しいこと、生きていてよかったと思えるような人生をしばらくは続けられると見込まれます(次の図の緑の部分)。また、《重度要介護》以降は、害あって益なしと考えられます(同じく赤の部分)。この二つの間の部分は、本人の人生観・価値観によって違った選択があるだろうと、考えられます。もちろん、緑や赤で示した客観的にはこうしたほうがよいのではというおすすめがある時期でも、ご本人を中心にして、関係者が話し合った結果、ご本人の人生にとってはこうするのが最善だという結論が、その客観的なおすすめと異なる場合もあるでしょう。人工的な水分補給については、栄養補給のほうをすると決めたら、通常は水分補給もします。栄養補給をしないと決めた時期については、水分補給をどうするか考えます。客観的には、一律に「する」「しない」ではなく、本人にどちらが快適か、負担が少ないかを専門家に医学的に判断していただき、快適・負担が少ないほうを選ぶ、というのがおすすめです。なお、人工的な水分栄養補給について、より詳しく説明した冊子もありますので、必要がある方、ご関心のある方はご参照ください(⇒P58 参考文献3)。ご自分の場合を考えてみましょう次頁の記入欄・記入例をご覧ください。記入の仕方は、前項までのやり方と同様です。加えて① ここでは、栄養補給はやらない時期(図に記入した➡の右側の時期)に、水分補給はどうするかの心積りを記入します。ご自分の考えに近い項目の□にチェックを入れてください(⇒☑)。「その他」を選んだ場合は、ご自分なりの心積りを記入してください。② 心積りがおすすめとかなり違う場合はその理由を、また付け加えたい条件や補足事項があれば記入してください。次の記入例を参考にして、「記入編」P6にご自分の場合を記入してみてください。41ステップ 1ステップ 2考え方ステップ 3ステップ 3おわりに

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