心積りノート 考え方・書き方編
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皆で話し合って合意形成(意思決定プロセスの進め方)これからの人生について予め心積りをする際になによりも大事なのは、おひとりおひとりがどのような人生を希望なさるかです。とはいえ、みなさまは、周囲の人たちと繋がりながら生きています。多くの場合支え合いながら生活しているご家族があり、また仕事上の関係者、趣味仲間、昔からの友達・・・などなどの繋がりがあります。そういう人間関係の中で生きている以上は、ただ「私はこのようにしたいので、そうします」といっても、直ちにそのようにできるとは限らないこともあるでしょう。以下では、そのような間柄の相手の代表として、ご家族の場合と医療・介護従事者の場合とを取り上げます。ご家族との話し合い例えば、あなたが「相当衰えたら、いろいろなことを無理にしないで、静かに最期の時間を過ごしたい」と思っておられるとしても、家族は「できるだけ長く生きていてほしいから、できるだけのことはしたい」と考えておられることがよくあります。もし、そうだとすると、今から話し合って、あなたの希望する生き方を理解していただき、またあなたもご家族の気持ちを理解したうえで、「どこまで治療を受けるか」といったことについて合意しておく必要があります。ご家族・ご親族を見渡して、ご自分の希望を実現するためには誰と誰に理解しておいてもらうことが必要かを考えて、機会をとらえて話し合っておくとよいでしょう。この心積りノートを使うと、話し合いのきっかけになり易いのではないでしょうか。他人同士が一緒に何かをしようとする場合、一方が他方の意向を聞かずに勝手にことを進めてしまうとトラブルになるので、多くの場合、相手の意向を聞きながら、話を進めます。しかし、家族の中では「相手の意向を聞きながら進める」という点が落ちてしまうことがよくあります。親しい、慣れ合った仲ですので、相手のことは分かっていると思い、相手のことも勝手に決めて押し付けるということになりがちではないでしょうか。ことに、家族の一員が病気になったり、老いたりして、衰えたり、周囲の助けが必要になったりすると、家族の他のメンバーは当人を護ろうとして、かえって当人のその人らしい生き方を妨げる結果となることもよくあります。加えて、ご本人とご家族の間には、考え方の違いがいわば宿命のようにつきまとっていますから、それを自覚して対応する必要があります。次ページのコラム「ご本人の視点/家族の視点」をご参考になさってください。14

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