心積りノート 考え方・書き方編
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《人生》の展開のために、医療は土台である《生命》を整える《人生》は、《生命》を土台として、その上に成り立っています。この身体が《生命》を持ち続けるからこそ、私は人生の物語りを紡ぎつつ、生きることができます。私の人生(の物語り)がより豊かになり,より拡がっていくことに価値があるからこそ、《生命》が続くことはよいことだと評価されるのです。そこで、医療は《人生》をよりよくすることを目指して、《生命》を調べ、《生命》に手術や投薬という形で働きかけるのです。こう考えると、ただ《生命》を延ばせばよいというものではなく、延ばしたら《人生》がよりよく展開するかどうかによって、延ばしたらよいかどうかが決まるということになります。では、人生のよさはどのように評価できるでしょうか。量と質の両面から考えましょう。量としては「長いほうがよい」とみなさん考えておられるのではないでしょうか。では、長ければ中身はどうでもいいですか?「辛いだけの日々だったら、長くても仕方ないねえ」・・・おっしゃる通りですね。ですから質として「日々快適に過ごせる」ということを挙げておきましょう。 そうすると、次の図のようになりますね。人生のよさを成り立たせているもの①人生がより長く続くこと②人生の内容である日々の生活が快適であること a. 苦痛がなく、楽に過ごせる b. 残っている能力を発揮する機会があるここで「快適」かどうかについては、ただ「苦痛がなく、楽に過ごせる」状態というだけではなく、「残っている能力を発揮する機会があるかどうか」を評価に加えるほうがよいと思います。例えば、少しは口から食べて、味わう能力が残っているのに、胃ろうにしたから栄養補給は足りているとして、口から食べるケアをしなかったら、味わう能力を発揮する機会がないのです。それでは味けのない日々になってしまいますよね。以上のことから、医療・ケアは上の図中の①と②を目指しているのだとわかります。高齢によりそれなりに老いが進んだ場合でしたら、上の①と②を考え、①と②の双方を目指せるか / ②だけ目指すほうがよいか と考えることができるでしょう。12

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