アメリカ的臨床倫理を日本で応用発展可能かどうか
国立松本病院内科 北野喜良

臨床倫理はautonomy, nonmaleficence, beneficence, justiceの概念・原則から成り立ち、臨床診療における様々な問題に対する解決の論理的根拠となりえると考えられる。驚異的な進歩を遂げている現代医療にあって、患者を支える臨床倫理の確立が望まれている。しかし、欧米で育った臨床倫理の考え方を実際の臨床の現場で応用してみると役立つことが多いものの、それだけで問題がすべて解決できるとは限らない。日本の文化・宗教的背景・医療制度を考えると、臨床倫理による問題解決法をそのまま日本で応用することには無理があるのかもしれない。日本人は自然との調和や社会との一体感を世界観としており、社会(世間)や家族から完全には自律したくないのかもしれない。アメリカ的臨床倫理を日本で応用可能か、可能とするとどのように発展していったらばよいか論じたい。

<参考>バーナード・ロウ著、北野喜良、中澤英之、小宮良輔監訳「医療の倫理ジレンマ 解決への手引き((患者の心を理解するために))」(西村書店)

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