< 終末期における適切な抗生物質使用に関する臨床倫理的判断指針についての検討
終末期における適切な抗生物質使用に関する臨床倫理的判断指針についての検討
日本バプテスト病院 ホスピス
林 章敏

1.研究の背景
(ア)末期がん患者における最大の死因は、原疾患の進行と感染症である。そのため、終末期に生じた感染症に対する対応は、末期がん患者のQOLと大きな関連があると予想される。特に一般病院におけるがん患者への対応においては、感染症に対してほぼ画一的に抗生物質の投与が行われているものと思われる。そして、その現状には、医師の倫理観が大きく関与していることが推測される。しかしながら、その実態に関する調査は本邦には無い。これらのことを明らかにしつつ、それらの倫理的判断における適切な指針の作成が望まれる。

2.研究の目的
(ア)本研究は、本邦における終末期がん患者の感染症への対応の実態を調査するとともに、医師が抗生物質の投与に関する倫理的判断をする際に参考となる指針等を作成することを目的とする。

3.研究の流れ
(ア)データ収集

  1. 末期がん患者における死因
  2. 感染症に対する医師の対応の実態
  3. 医師の対応に影響する因子に関する調査
(イ)抗生物質の投与に関する臨床倫理的判断指針の作成
(ウ)抗生物質の投与に関する臨床倫理的判断指針の効果に関する評価
(エ)抗生物質の投与に関する臨床倫理的判断指針の改定
(オ)抗生物質の投与に関する臨床倫理的判断指針の普及

4.研究の概要
(ア)多施設共同研究とする
(イ)抗生物質の投与に関する臨床倫理的判断指針作成委員会を結成し、収集されたデータを基に指針を作成する
(ウ)研究参加施設において指針を実際に使用し、その効果を評価する

  1. 評価は医療者、患者・家族、からのものを総合的に判断する
  2. 評価には、医療経済的視点も含めることとする
(エ)指針の普及は報告書のみならず、冊子、電子媒体等を作成して行うこととする

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