地域社会におけるネットワークのあり方
望月 律子(東北厚生年金病院看護局)

 東北厚生年金病院は仙台市東部に位置し、仙台市はもちろんのこと近隣の多賀城市や塩釜市、松島や七ヶ浜町など広範囲から患者さんが来院する総合病院です。ベッドの総数は500床を有しています。地域の機関病院としての役割をもち、病診連携や病病連携をすすめております。そのため地域の開業医の先生方とは登録医制度を活用し、患者さんの当院への紹介、当院から開業の先生への紹介を行いその役割分担をすすめております。

 また、看護の立場でも上記と同様の意図で地域ネットワークをすすめております。当院には医療連携室に訪問看護師と訪問薬剤師、ケースワーカー・OT・PT等がおり退院調整や退院後の訪問指導や看護を行なっています。この際もできるだけ登録医の先生方と連携をもち、地域の訪問看護ステーションへバトンタッチする方向ですすめております。これには、マンパワーの問題や患者宅への距離などの地理的な問題も含んでおりますが安定した状態で在宅療養を送れるなら、地域での生活を維持していこうという考えのもとに行なっております。

 しかし、これら地域ネットワークの推進には患者さんやそのご家族全員が賛成してくれない問題を抱えております。その大きな理由は、東北厚生年金病院との関係が切れてしまうという懸念です。もし、具合が悪くなったら入院させてもらえないんではないか、せっかく慣れたのにまた違う看護師が来るのはいやだといった具体例にぶつかります。説明と納得そして意思決定というプロセスを踏んでいただいておりますが、患者さんやご家族の気持ちの中に『大きな病院にかかっていれば安心』というのが存在していることは想像できます。

 医療費の抑制はもちろんのこと、病院という役割機能の分担による適正医療をすすめていかなければなりません。それぞれの役割を果たしたら次のステップで療養生活を支援していく体制が地域社会におけるネットワークであると考えています。われわれ医療従事者の意識改革と医療の消費者である患者さんの意識改革という二面性であり方を検討していかなければならないと考えております。


患者相談窓口を担当して
望月 律子(東北厚生年金病院看護局)

  東北厚生年金病院は臨床研修病院として認可されています。そのために厚生労働省医政局より患者相談窓口の設置が義務づけられ当院でも開設いたしました。約半年が経過し担当者として私見をまとめたいと考えました。

 当院では、患者さんのご意見は『入院患者アンケート』や『患者の声ボックス』などでいただいておりましたが、直接患者さんのお話を聞くというものではありませんでした。患者さんと直接話すことで得られた多くの学びを今後どのような形でまとめていこうか迷うところです。もっとも痛切に感じていることは、これまでの医療は患者さんの知る権利を無視してきたのではないだろうかという点です。患者さんの人権を守り、患者さんが受けたかった医療はどんなものだったのだろうと後追いしている現実があります。

 私の上司は、患者相談窓口が開設されてから苦情の投書が減少したと話しております。患者さんの意見を直接聞くという行為がどのような意味をもつのか、またなぜ必要なのかを医療機関の機能としてまとめていく必要性を感じております。

 『患者相談窓口』がシステムとして機能していくための方策を考えていきたいとおもっております。

 

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