臨床倫理 研究集会 2004.7.17 齋藤ひろみ

 

 高齢在宅療養者の生活を保障していく上での諸課題

――地域看護の視座から――

 

病気になったからといって、障碍者に留まってはいけない、人生を諦めてはいけない、生ける屍になってはいけない」、高齢在宅療養者を看護する実践の経験を通じて、報告者はこのような確信を抱いてきた。その潜在的能力が最大限に発揮されるならば、在宅療養者は、死の際まで(最期まで)健康的な生活を送ることができるのである。にもかかわらず在宅療養の生活、わけても高齢者の療養生活においては、療養者本人の意思よりも、家族や支援者など周囲の人々の〈配慮〉が優先されるケースが目につく。こうした現状のなかで高齢在宅療養者が健康的な生活を送るために具体的にどのようなプロセスを踏む必要があるのか、この問題について地域看護の立場から述べることにしたい。